泣かない人形

□2:リンLin
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将貴さんに連れられて来られた家はでっかくて綺麗で俺の常識の範囲外だった

『…わ、ぁ』

『ついて来い』

将貴さんがスタスタと歩き出したから俺は慌てて追いかけた




連れてこられた部屋にはベッドとクローゼットのみの小部屋

『今日からここがお前の部屋だ』

『え、』

『なんだ気に食わないのか?』

『や、こん、な……綺麗な、部、屋だ、と……思わ、な、くて』

今までこんな綺麗な所に住んだ事がなかった
家はボロアパートだったし売られてからは地下牢のような所だったしそれに比べればこの部屋は天国みたいだ

夢を見ている気分だった



『ふっ、これくらいで喜ぶのか』
その時将貴さんはほんの少しだけ笑った
きっとこれが俺が見た最初で最後の将貴さんの笑顔

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