本編外
□白雪姫の見る夢は
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黒く艶やかな髪に同色の零れんばかりの大きな瞳、血色の唇。
そして、儚い雪のような白い肌。
誰もが振り返る美貌を持って、彼女はこの世に生を受けた。
その代償は、彼女――プリマを酷く苦しめる事になってしまったけれど……。
「…………、そうか。護衛をそのまま続けてくれ」
自身の腹心からの報告を聞き終え、伏せていた瞼を押し上げ彼は任務の続行を言い渡す。
若干十八歳という若さながら、一つのファミリーを束ねるボスである彼こそが、若き日のドン・ボヴィーノ。本来の名をルーカ、と言う。
その地位について早十年。彼の周りは既に固められ、ボヴィーノのシマ自体も随分成長した。
……そんな中で旅立った、一人の少女。
昔からルーカが気に掛けて来た、人一倍麗しく、そして体の弱い十歳年下の女の子。
「ビアンカネーヴェ、せめて君が『彼』の保護を受けるまでは…」
護らせて欲しい。
これは恋ではないけれど、間違いなく愛であるから。
ボヴィーノのファミリーを、土地を、平穏を。
ルーカが護らなくてはならない、護りたいものの中に、幼い近所のあの娘も当然のように入っているから。
だから彼は、プリマにこっそりと護衛を付けるのだ。