短編(アイシ・ヒルセナ)

□警備員さんと小さな少年
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少年はかなり混雑している人波をすり抜けて走っていく。
すげぇな。人にぶつからず、スピードも落ちない。感動モノなのだが。
見事な走りではあるが、やはり警備員の見解としては危険だ。
本来ならば捕まえて叱責の1つもしなければならない。
だが俺はすぐに職務放棄した。あんなの捕まえられるわけがないからだ。
せめてもの抵抗で、そこのキミ、止まりなさい!と叫んだ。
少年は俺にすみませ〜んと答えたが、足が止まることはなかった。

少年が走っている理由はすぐに知れた。
見るからに不良という感じの2人が追いかけてきていたからだ。
イジメってやつか?あんな小さい子を2人がかりで苛めるってのはよくないだろ。
しかもこの2人は道行く人にぶち当たりながらドカドカと走っている。
これは警備員として、そして泥門高校OBとしても見逃せないぞ。
俺はこの2人を追跡し始めた。
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