短編(アイシ・ヒルセナ)

□オニキス
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次の日、練習後の部室で。僕は皆が帰るのを待っていた。
鍵を閉めるためにいつも最後まで残るヒル魔さんにあれを渡すためだ。
わざとゆっくりと着替えながらノートパソコンを叩くヒル魔さんを盗み見る。
いつもヒル魔さんの尖った耳を飾っている二連の美しい金色のピアス。
だが左の耳には今はピアスが1つしかない。失くしてしまったという。
そこで僕はアクセサリーショップへ向かったのだった。
そしてショーケースに並べられた黒いリングのピアスに釘付けになった。
オニキスというらしい。
昔から護符として用いられているパワーストーンなんですよ。
店員さんが僕の視線を読んで、そう教えてくれた。
恋人同士でぜひ、という感じで2組並べられたピアス。
まるで二連のピアスをしているヒル魔さんのためのようにさえ見えて。
黒く美しいオニキスの光に魅せられた僕は、ついにこれを手に入れたのだ。
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