長編(アイシ)

□モノローグ2
2ページ/36ページ

* Hiruma Side -1- *

入部当時に比べて。随分と男っぽい顔をするようになった。

俺は後輩で同性であるセナに恋をしている。
セナは俺が今まで多くの恋を経験していると思っているらしい。
それは間違いだ。身体だけの関係と言う女はいた。
だがこんなにも俺の心に入り込んできたヤツはセナだけだ。
大事にしたいと思う。そんな気持ちになったのは初めてだから戸惑う。

セナを大事に思う気持ち。
それはアメフト部主将としては決してプラスではない。
まだまだ選手としてエースとして成長途中であるセナ。
毎日あんな小さな身体で信じれないような練習メニューを課している。
試合などでもかなりの無理を強いている。
強い相手とぶつかるたびに悩み、傷つき、成長していくセナ。
そんな相手だから好きになった。
好きになったからそんな無理はさせたくない。
いつも相反する2つの思いと戦うことになってしまった。
それを顔に出さないようにするのは、至難の業だ。

セナは俺のことをやたら崇拝しているような気がする。
俺の言うことは絶対だと思い、俺には欠点などないと思っているのではないか。
冗談じゃねぇ。違ぇだろ。
俺からすると脅迫手帳を銃火器を駆使して、目的の為に手段を選ばねぇ俺よりも。
セナの方がよっぽど純粋で綺麗な人間だと思う。

俺はいつでもセナに触れたいと思っている。抱きしめて。キスして。
そしてセナの身体も心も俺のものにしたいと思っている。
こんな俺の邪な想いを知っても、セナは俺を好きでいてくれるのだろうか。

部活が終わった帰り道。セナは俺の後ろを歩いている。
並んで歩こうとはしないセナに、俺の背中はどう見えているのだろう。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ