頂き物&献上品(アイシ)
□【献上品】ジャリプロパニック
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「君、かわいいから、人気出るよ〜」
「いや、僕は。。。」
「きっとすぐアイドルになっちゃうから〜」
「そんなの。。。」
「ね、詳しいことはどっか落ち着いた場所で話しましょ〜」
とにかくセナに口を挟ませない。
校門の内側には隠す様子もなく人の気配。
部員たちが、立ち聞きして様子を伺っているのだ。
そんなヒマあったら助けてくれればいいのになぁ。。。
「じゃ、行きましょ〜」
ミラクル伊藤がセナの腕を掴んで、近くに停めてある車に連れて行こうとする。
「ちょ、ちょっと待ってください。」
セナは慌てて掴まれた腕を振り解いた。
「無理ですよ。僕がアイドルなんて。絶対ないです。」
「そんなことないって。人気も出るし、お金になるよ〜」
お金、と聞いて微かにセナの表情が変わった。
「お金?」
「そうそう」
急に興味を示したセナにミラクル伊藤の目が輝く。
「そういうのって部活と両立できます?僕アメフト部なんですけど。」
「アメフト部?できるよ〜現に桜庭ちゃんがやってたからね。」
「じゃあ。。。」
何か言いかけたセナの声にバラバラとマシンガンの音が重なった。
「糞チビ、何してやがる。練習だ!」
見慣れた立ち姿が現れた。泥門の金髪の悪魔。その怒りの形相にミラクル伊藤の腰が引ける。
連絡してね〜とセナの手に名刺を押し付けて、ミラクル伊藤は車で去っていった。
その後の練習はなにかまとまりを欠いたものになった。
お金という単語で態度が変わったセナに皆が疑問を抱いている。
何処か白けた雰囲気の中でその日の部活が終わった。