短編(アイシ・ヒルセナ)

□握手の続き
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セナ、と背後から名前を呼ばれ、肩を叩かれた。
振り返ったセナの笑顔はニタニタと笑う相手の顔を見て凍りついた。

そこに立っている4人組。
セナを中学時代に散々パシリにした同級生たちだった。
セナの肩を叩いたのがリーダー格で、特にセナを念入りに苛めていた。
アイシールド21かぁ、偉くなったんだなぁセナくんは。
4人はセナを取り囲むようにして、その輪をジリジリと縮めてきた。

セナは冷静に頭の中で逃走用のデイライトを思い描いた。
4人とまともに喧嘩などしてもやられてしまうのはわかりきっている。
だが不意をついて逃げるのは可能だろう。

よし!と気合を入れて走り出そうとしたその瞬間。
背後からもう一人別の男が現れた。
そして走り出そうとしたセナの前方に回りこんで、足を引っ掛ける。
あまりの素早さに反応できない。
セナは思い切りその場に前のめりに転倒した。

阿含さん。リーダー格の少年がその男の名を呼んだ。
セナは転倒したまま、ドレッドヘアのその男を見上げた。
何の偶然か、この期におよんで現れた男はセナにとって因縁の人物。
ここへ来て「神速のインパルス」が加わるなんて。
しかもその能力を発揮して、セナを足止めするなんて。
これでは逃走もむずかしいとセナは絶望的な気分になる。
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