短編(アイシ・ヒルセナ)

□猫の日
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誰もが小早川宅の猫のピットにとって、クリスマスボウルなど関係ないと思うだろう。
ところが、さにあらず。
クリスマスボウルのおかげで、ピットの身辺は最近にわかに騒がしい。

通常は何の種目に限らず、スタジアムにペットの入場は原則禁止。
だが小早川家の両親はそんなことは知らなかった。
息子の大舞台での晴れ姿。
家族の一員であるピットも共に観戦することに、何の疑問も抱かなかった。

試合当日。受付であまりにも堂々と母親がピットを抱いていた。
だから係員はきっと特別に許可をもらった猫なのだと思い込んだ。
そしてピットは両親同様、ごく自然に試合を観戦したのだった。

そしてかの「月刊アメフト」のクリスマスボウル特集の片隅。
『アイシールド21が飼っている猫、試合観戦!』と銘打たれて、ピットの写真が載った。
口コミで話題を呼び、ついにはペット雑誌の取材が小早川家にやって来た。
そんなこんなですっかり有名になったピットは。
外出の度に見知らぬ人間に頭を撫でられたり、名前を呼ばれたり、歓声を浴びたり。
すっかり迷惑で鬱陶しい日々を送っていた。
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