短編(アイシ・ヒルセナ)

□コードネーム
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即席ビーチフットチーム、デビルガンマンズは何とか優勝を果たした。
言いだしっぺの泥門の主務の少年がホッと胸を撫で下ろしている。
そしてキッドに駆け寄って来て頭を下げた。

「ありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ」
キッドは笑いながら、おどけた仕草で一礼を返した。
二人はなんとなくそのまま砂浜に並んで座り、話をし始めた。

「キッドさんってもちろん本名じゃないですよね?」
「まぁねぇ」
「コードネームみたいなものですか?」
「そうだねぇ」
キッドはのらりくらりと答える。
もしかしてヒル魔の差し金で、自分から何かを引き出す作戦なのか。
一瞬そう思ったが、すぐにその考えを打ち消した。
子供子供した少年に、そんな策略は感じられない。

「本名でなくてコードネームを使うのって淋しいと思ったことないですか?」
まっすぐな瞳、ストレートな質問。キッドは一瞬返事に詰まった。
一緒にチームを組んでいて容易く見抜くことが出来た。
この少年の見事な脚力。あのヒル魔がこの足を放っておくはずなどない。
この主務と名乗る小さな少年こそアイシールド21なのだと。
この少年は自分の本名でフィールドに立てないことに何を感じているのだろう。
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