短編(アイシ・ヒルセナ)

□トロフィー
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まったく煩せぇこと、この上ない。
ヤツラは今、糞チビが関東大会の表彰式でぶっ壊したMVPトロフィーを組み立てている。
ここはこれかなぁ?とか、いやこうじゃない?とか。
落っことしたトロフィーはかなり悲惨な状態になっていた。
台座や天辺の部分こそ大きな塊で残っているが、それ以外はかなり細かい破片と化している。
最初は確か糞チビと糞ザルが部室の隅で細々と組み立て始めたのだが。
コーチという名で集まっている他校のヤツラが面白がって手を出して、大パズル大会となってしまった。

陸がセナは昔から不器用だったよなぁと言い、糞チビが情けなく笑う。
一休がこれは鬼むずかしいと言い、赤羽はこんな時でもギターを放さない。
筧と水町が欠片が小さすぎて俺たちの手のサイズに合わないと文句を言う。
キッドが鉄馬にその破片は右だと指示し、雲水が破片を片手に唸る。
大田原が鼻息で仮留めしていた細かい破片を崩しかけ、番場と峨王に押さえつけられて。
あの真面目な進までもがその欠片はこっちではないのか、などと聞いている。
俺は初めて右腕が使えないことに感謝した。
このメンバーには俺など恐れない命知らずも多いが、さすがに今の俺に手伝えとは誰も言わない。
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