短編(アイシ・ヒルセナ)

□Guardian
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甲斐谷陸は峨王の右の掌が振り下ろされるその瞬間にそれを見た。
氷室を庇ってセナが飛び出す。
それを目の端に捉えながら、彼女のノートパソコンを引き寄せた。

この会見は陸にとってまったく気に入らないものだった。
高校生とは思えない無駄に色っぽい白秋のマネージャーは試合を棄権しろと言う。
それも西部が負けることを前提に、決勝相手の泥門のエースのセナまで呼んでいた。
その後現れた猛獣のような男も、場違いなマフィアみたいな男も。
セナが襟元にマイク付きのカメラを付けていたことも。
そして2階のカフェの窓にヘッドフォンをつけたヒル魔妖一が見えたことも。
あいつはセナを通じてこの様子を見て、聞いているのだ。狡猾な男。

「決勝で待ってろよ、セナ」
うん、と答えるセナの声を背後に聞きながら、陸はその場を立ち去った。
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