短編(アイシ・ヒルセナ)

□誓い
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俺は2年生になって初めてレギュラーのRBになった。
そしてエースRBの証であるペンダントを渡された。
それを首にかけてもらうと何だからしくもなく目頭が熱くなった。

小学生でタッチフット、中学でアメフトを始めた俺の夢。
それはもちろんクリスマスボウル。だから泥門高校に入学したのだ。
次のクリスマスボウルに出られれば神龍寺を抜いて関東最多出場になる。
そんな泥門デビルバッツにはいろいろと奇妙な点がある。

まず部室がカジノだということ。
なんか初代主将の趣味だとか部費の確保とかいろいろ噂があるが真相は不明だ。
次に部室の壁に銃弾の痕があること。
しかも半端な数じゃない。銃の乱射事件の現場か?と突っ込みたくなる。
そしてレギュラーのQBとエースRBには代々渡されるペンダントもその1つだ。

ペンダントにぶら下がっているのはただの石ころだ。
それは泥門の伝説の初代RB、アイシールド21がアメリカを横断したときに蹴った石だそうだ。
元は1つだったものが、長いこと蹴り続けて2つに割れたものなんだって。
アメリカを石蹴りで横断って何だ?アイシールド21ってそんなに石蹴り好きだったのか?
それに2つに割れたもう1つをQBが付けるっていうのはどういう経緯なんだろう?

そして部室の壁にはその初代RBのユニフォームとリストバンドが飾られている。
王城の伝説のラインバッカーと1対1の勝負をして破られてしまったものだとか。
それは高校アメフトの歴史に残る名勝負なのだそうだ。
ユニフォームが破れるのはまだわかるが、リストバンドを引きちぎるってすごい怪力だ。

泥門では初代エースRB以来、21番も誰もつけていない。
別に永久欠番というわけではなく、アイシールド21を超えるRBが現れていないからだ。
練習して、もっと実力をつけていつか21番を付けたい。そして願わくば緑のアイシールドも。
俺は首にかけたペンダントの石を握り締めながら、破れたユニフォームの21に誓いを立てた。

【END】


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