拍手短編(アイシ)

□フェア
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「これ、ヒル魔さんに渡してくれないかな」
今年の1年の中で1番カワイイと評価される美少女がセナに1枚の紙切れを差し出した。

「え?」とセナは呆然と立ち尽くしてしまった。同じクラスの彼女が差し出した紙切れ。
女の子らしい綺麗な字で携帯の番号とメールアドレスが書かれている。
「何で僕に言うのかな。。。」と弱々しく抵抗するセナに。
「だって小早川くんはアメフト部の主務でしょ」と彼女の答えは一刀両断だ。
あはは、とセナは力なく笑う。

何だか嫌だと思う。ちょっと強気でとてもカワイくてスタイル抜群の女の子。
全てがセナと真逆な彼女がヒル魔に近づこうとしていることが。
ヒル魔は顔立ちも整っているし、身体だって鍛えていてかっこいい。
こんな子と並んだらさぞかし絵になるだろう。
「渡してくれるでしょ」黙っているセナに焦れた彼女の声が少し尖った。
ああ、ヒル魔さんの恋を邪魔する権利なんてないよね。
セナは諦めて紙切れを受け取ろうと手を伸ばした。
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