短編(セカコイ)

□プロット
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今回書くお話は、図書館で2人が恋におちるって話にしようかと思って。
それを聞いた俺は、思わず口に含んでいたコーヒーを吐き出しそうになった。

今日は作家の先生と打ち合わせだ。
昔から少女マンガの世界で活躍するベテランで、俺とは親子ほども年齢が違う女性作家さん。
その方がこの度、連載を描いてくださることになった。
過去に丸川書店で描いていただいたことはあるけど、エメラルドでは初めてだという。
俺の担当になるのだけれど、何せ少女漫画界では超有名な大御所作家さんだ。
だから今日は編集長の高野さんにも入ってもらって、顔合わせをかねて軽くプロットの話をするのだ。

担当するに当たって、俺はもちろん先生の作品を全部読んだ。
俺的にはすごく好きな感じの作風だ。
ベテラン大御所の先生だけあって、古きよき時代の恋愛って感じ。
そのよさを一言で言うなら「すれ違いの美学」だと、俺は勝手に思っている。
例えば主人公の彼氏と彼女が待ち合わせなんかしても、なかなか逢えない。
不慮の出来事とか、恋敵の妨害とか。
来ない相手をひたすら待ち続ける切ない気持ちの描写は、純文学の世界に通じると思う。

ただ残念なことに、携帯電話がここまで普及した今はちょっと現実味がない話だ。
俺も含めて、生まれた頃から携帯電話がある人間にとってはなおさら。
ちなみにこの方の前回の作品では、主人公の携帯電話が頻繁に電池切れ、または置き忘れ。
高野さんも「ケータイを使用不能にするパターンはやめさせねーとな」と言っていた。
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