短編(セカコイ)

□チームワーク
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昼休み、エメラルド編集部の部員たちと食事に出た。

編集部のメンバーがそろって昼食をとるのは、あまり多くない。
担当作家と会うために外出とか、単独行動が多いからだ。
その上俺は編集長なんて肩書きがあり、会議も書類も他のヤツらより多くて、特に時間がない。
まぁそもそも修羅場の時期になれば、食事する余裕もないんだが。

そんな調子で同じ編集部内でさえ、なかなか昼に全員揃うことなどない。
今日は久しぶりに全員が揃うかと思ったら、そうはならなかった。
小野寺が「今日はいいです。昨日、飲みすぎたみたいなんで」と言ったからだ。

昨日、ヤツは丸川書店の20××年入社組の飲み会に誘われていた。
小野寺は中途入社だが、社会人としてはこいつらと同期になるからだ。
最初ことわるつもりだったらしいが、俺は行って来ていいぞと言った。
小野寺のヤツ、信じられないと言わんばかりに目を見開いて、俺をガン見しやがった。
俺のことを何でもかんでもダメだと言って束縛するヤツだと思ってるな、コイツ。

忙しい時期に行ってもいいと言ったのは、まぁ上司としての親心みたいなもんだ。
丸川書店には知り合いも少ない小野寺に、こういう絆が増えるのはいいことだと思ったのだ。
これから丸川で仕事をしていく上で、それはプラスになるだろう。
どうやら編集部の他のやつらも同じ気持ちだったようで、行ってくれば?とすすめていた。
小野寺は恐縮しながら、飲み会に出かけていったのだ。
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