短編(おお振り)

□ライバル
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ちわ!と声をかけながらベンチに入っていった。
そこで俺が見たのは、ベンチに横たわって爆睡する人だった。

俺は中学3年生で、来年は高校に進学する。
埼玉のとあるシニアチームで投手をしていて、高校でも絶対野球は続けたい。
でも残念ながら、俺は名門校から誘いが来るほどの投手ではない。
そもそも名門校は入学したところで、レギュラーを取るのは難しい。
シニアのセンパイの中には、名門校から誘われて行った人も何人かいる。
でもベンチにすら入れず、ひたすらスタンド応援の踊りの練習ばかりしているとか。
太鼓の腕前だけがやたらと上達したとか。
そんな話を聞かされていた。

俺はそんなのはゴメンだ。何としても試合に出たい。
俺は誘いが来るほどの名選手ではないけど、そんなに下手でもないと思う。
レベルを落とせば、レギュラーを取れる学校なんていくらでもある。
でも甲子園に行きたい。
だからあんまり弱小校では困るんだ。
さてどうしようか、と悩んでいた俺だったが。
たまたま足を運んだ球場で、ある学校の活躍を見て心が決まった。
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