短編(アイシ・十セナ,ムサヒル)

□意識する2人と見守る2人
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泥門デビルバッツは太陽スフィンクスとの試合を終えて、アメリカへの挑戦権を獲得した。
打倒NASAエイリアンズ。練習にも熱が入る。

そんな部活の休憩時間。
マネージャーのまもりが部員たちにタオルとドリンクを配っている。
十文字もそれを受け取り、汗を拭きながら喉を潤した。
もともとひょんなことから撮られた「シャシン」をネタに脅されて関わったアメフト部。
練習がこんなに心地よく感じる日がくるとは思ってもみなかった。

感傷にひたっていた十文字の耳に飛び込む「ヒィィ」とけたたましい悲鳴が聞こえた。
思わずそちらに目を向けてしまう。
主務と書かれたTシャツを着たセナがケルベロスに引きずられるように校庭に駆け込んできた。

セナは「ケルベロスの散歩」という理不尽な仕事を日課にされている。
主務のセナがやる筋合いのものではないだろう。
そもそもケルベロスはヒル魔の犬なのだ。
散歩はヒル魔の仕事だと思う。

アイシールド21の正体を知らない十文字は「ケルベロスの散歩」の真の意味がわからない。
セナの脚力と持久力をつけるための特訓なのだということを。
常日頃から、こんな過酷な作業をセナにさせているヒル魔を腹立たしく思っていた。

セナはゼィゼィと荒い息をしながら、ケルベロスを小屋に戻している。
そしてその場にペタンと座り込んでしまうセナを見て、焦った。
助けてやりたい、守ってやりたい、と思う。この気持ちは何だ?
十文字は自分の気持ちを持て余して、途方にくれた。
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