長編(アイシ)

□スーパーボウル 2nd season
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【注意】
この作品は2010年のスーパーボウルの試合内容に準じております。

泥門デビルバッツの面々は、月曜の朝だというのに部室に集合していた。
昨年同様、スーパーボウルをテレビ観戦するためだ。
部員全員が授業を放棄するという暴挙だが、教師らから文句は出ない。
未だに悪魔の異名を持つ初代主将の権力は偉大だ。

今年の決勝はAFC覇者コルツ VS NFC覇者セインツだ。
スターQBマニングを擁するコルツに対して、スーパーボウル初出場のセインツ。
前評判では圧倒的にコルツが優勢だった。

3代目主将を拝命した中坊は大いに不満だった。
セナたち2年生はどうしてもこういう試合では、逆境のチーム寄りになる。
現に2年生たちは「セインツ、勝たないかな」などと言っている。
人数ギリギリ。初心者ばかりのメンバー。
そんな状況で不可能だといわれたクリスマスボウルを勝ち取った昨年の記憶は、鮮烈なのだろう。

中坊はそれを少し寂しく思う。
もう1年早く生まれていたら、セナたちと苦労を共に出来ていたかもしれない。
でもそもそも彼らがクリスマスボウルへ出場しなければ、泥門高校には入学していないだろう。
彼らの苦闘があったから、アメフトを知り、セナを知り、ここへ来た。
その1年はどうしても埋められないものだ。

ともかく今年の泥門デビルバッツは、もう違う。
王者となり、追われる立場となり、でも見事に勝ち進んだ。
今年のスーパーボウルに例えるなら、セインツではなくコルツだろう。
2年生たちの結束への羨ましさと少しの妬ましさも相まって。
中坊は「やっぱりコルツですよ」と笑った。
他の1年生たちも同じ思いなのか、口をそろえて「コルツ」という。
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