長編(アイシ)

□モノローグ2
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* Sena Side -1- *

どうしてあの人は僕なんかを好きになってくれたんだろう?

僕は今、生まれて初めての恋をしている。
それは世間一般の常識からすると、かなり外れた同性の先輩への恋。
いろいろな事があって。彼も僕を好きだと思ってくれているとわかって。
僕たちは両思いの恋人同士になった。

僕の恋人、ヒル魔さんは本当にモテる要素が多すぎる。
綺麗な顔立ちも。痩せているように見えて、鍛えられた身体も。
そして僕たちみたいな初心者集団を試合で勝たせる明晰な頭脳も。
これであの毒舌や脅迫行為なんかがなくなったら、きっとモテまくりだろう。
だから不思議なんだ。ヒル魔さんは僕のどこを好きになったんだろうかと。
僕は何1つモテる要素なんてない。ヒル魔さんとは全然つり合わないのに。

前にまもり姉ちゃんが言ってた。
ヒル魔くんって部活も大変なのに、成績はすごくいいのよね。
確かに。時々廊下に貼り出される実力テストの結果とか。
2年の上位10番以内に、ヒル魔さん、まもり姉ちゃん、雪さんの名はいつもある。

そんなことを言うまもり姉ちゃんは、実はヒル魔さんが好きだ。
僕とヒル魔さんがお互い想い合っているのを知って、身を引いた。
ヒル魔さんを信じていないわけじゃないけど。
こんな美人が彼の横にいるのはやはり僕としては脅威だ。

僕は頑張らなくてはいけないのだと思う。
僕を好きだと言ってくれるヒル魔さんの為に。
どんなに頑張ったってヒル魔さんにつり合うようになれるとは思えないけど。
でも少しでもその差を詰めるために。

部活が終わった帰り道。
ヒル魔さんの背中を見ながら僕は何が出来るかと考え続けた。
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