短編(アイシ・ヒルセナ)

□Love or ambition
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やるなら死んでもトップ獲りにもがくのがたりめーだ。
だから面白ぇんだろうが。

セナはトランクの中に身を伏せながら、その言葉を聞いていた。
阿含、キッド、そしてヒル魔。
盗んだ車の中で行われる世にも怪しく危険な三者会談だ。

ヒル魔は3億という賞金には興味を示さなかった。
だがMVPに話題が及ぶと、それは譲れないと言った。
NFLに行くためのチャンス。ただ1枚の切符を狙っているのだ。

スリリングなドライブの終点はスタジアム前。
セナと鈴音はトランクの中から恐る恐る這い出した。
ヒル魔があの黒い手帳で追跡してきた警官を追い払っている。
そしてチラリと一瞬、セナに視線を送ってきた。

この人だもん、僕がトランクにいたなんてわかってたよな。
セナははぁぁとため息をつきながら、ヒル魔の視線を受け止める。
そしてその瞳に微かな敵意を感じ取って、たじろいだ。
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