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□和也バースデー
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「許して―」


「やだ」


「許してちょんまげ」


「絶対許さない」


「あ―そうですか」


「逆ギレかよ」


せっかくの誕生日なのに喧嘩した。
きっかけは、俺がやってたゲームの電源を消したから。
やっと、ボスを倒して、後はセーブ……って思ってた瞬間、テレビの画面が暗くなった。


「ごめんね」


「……」


「和―!!」


怒ってなんかない。
だけど、ここまできたらこのままでいようかなって。


だって、可愛いんだもん。
瞳をうるうるさせての上目遣い。
直視したら即死しそうなぐらい。


「和也くん、」
「和くん、」
「にのちゃん、」


ソファーの周りをぐるぐる回って俺の名前を呼び続ける。


完全にシカトだけど。


「…もういい」


あ、拗ねちゃった?


チラッと様子を見てみると、足を三角にして顔を隠していた。


「ほら、顔あげろって」


「…ばか」


「はいはい」


「なんでシカトすんのよ」


「なんでだろうね」


「ばか―」


「わかったって」


ぎゅっと抱き寄せると、泣き顔が笑顔にかわる。


「…怒ってないの?」


「怒ってないよ」


「よかった―」


「あ、でも」


「ん?」


「ボス倒すまで帰さないよ」


可愛いから、意地悪しちゃった





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