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□翔バースデー
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「翔ちゃんの馬鹿!」


「……はい?」


「翔ちゃんの馬鹿!」


「ちょっ、どうした?」


「馬鹿!変態!ヘタレ!」


「…いくらなんでも言い過ぎじゃね?」


「翔ちゃんがいけないんだもん!」


「意味わかんないから」


せっかく、2人でいれるのに朝からいきなり怒られた俺も、だんだんとムカついてきた。


「…うそつき」


「……」


「翔ちゃんのうそつき!」


「…え、」


涙をいっぱいに溜めた大きな目と視線が絡んだ。


「…どした?」


「…あたしが1番じゃなかったの?」


「へ?」


「…あたしじゃ、ものたりない?」


待って。
全く状況が飲み込めない。


「…これ」


恐る恐る、俺の前に出されたのは友達に借りたビデオ。


「…あ、」


「翔ちゃんも男だから仕方ないけどさ…。
もっと見えないとこに隠してよ」


「ごめん、」


「胸、おっきい人がいいんだ」


「いや、そうじゃなくて」


クッションに顔を隠す君の隣に座った。


「あのさ、」


「…ん?」


「……」


「…翔ちゃん?」


「俺ね、胸おっきい人好きだよ?」


「え?」


「だけど、お前のほうがもっと好き」


「…ば―か」


クッションに顔を隠したまま、小さいグーが俺の腕を軽く叩いた。


「…それが聞きたかったの」


「そっか」


「しょうがない」


「……?」


「今日は優しくしなくていいよ」


「マジで!?」


「でも、痛くしたら許さない」


「…頑張ります」


「だから、プレゼントいいよね?」


「…忘れたんだ」


全身での愛
(君がいればなにもいらない)




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