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□Happy Birthday Dear Kazunari
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俺が恋した女の子は、


「好きだよ」


「あたしも。美味しいよね」


鈍感ガール。


「だから、それじゃなくて」


「こっち?」


天然、って言った方がいいのかな?


「…ありがと」


「たくさん食べな」


最初は、そんなところも可愛いなんて思ってたんだけど、


「あれ?」


最近は手におえなくて。


「どした?」


「ううん」


なんでもない、って言いながらタンスの奥をごそごそし始める。


「なに?探し物?」


「違うんだけどさ…」


ごそごそしてる時点で探し物だよね?


「……あった」


「見せて?」


「やーだ」


とか言ってるけど、見えちゃってるよ?


「トランプ?」


「えっ!?な、なにが?」


「持ってるの」


急いで背中の後ろに隠したトランプを指差し聞く。


「…バレちゃったから言うけど、あたし、マジック覚えたの」


「へえー」


「ニノちゃんより凄いんだからね?」


そこまで言うんなら見てあげますよ。


「えーと、ここにトランプがあります」


「ありますね」


「1枚選んでください」


「じゃあ…これ」


「選んでもらったトランプを折ります」


………えっ?


「そうすれば、選んだトランプがどれだかすぐにわかるでしょ?」


まあ…。


「こうやって、悩んでるフリをして…。


ニノちゃんが選んだトランプはこれですか?」


「正解なんですけど…」


「……?」


「タネ、言っちゃってますよ」


「……あっ!」


「俺の勝ちです」


「もう1回」


「いいけど、タネわかってるからね?」


「…来年、もう1回やる」


「いいですよ」


「でも、その前に…」


「ん?」


「恋のマジック」


ほっぺに柔らかな唇が触れる。


「お誕生日おめでとう」


「忘れてるかと思った(笑」



天然な君のことだから。




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