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□翔バースデー
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「寒っ、」


白い息が空にのぼって消えていく。
襟元をかじかむ手で握り、待ち合わせの場所へと足を進める。


「…いた」


小さい手に息を吹きかけるその彼女は、空に輝く月を見つめている。

俺のことなんか、全く気づいてない。


「…三日月か」


「いつからいたの!?」


「2分くらい前」


「2分って…(笑)言ってよ」


「見とれてしまってね」


「あっちに可愛い子いたよね」


「マジ!?」


「変態」


「お―い(笑」

「へーん―た―い!(笑」


あははと楽しそうに笑うから、俺も楽しくなって笑った。

人の目とか、どうだっていい。
今が幸せなら。


「ありがと、翔ちゃん」


「ん?」


「あたしのこと好きになってくれて」


「どしたの?急に」


「だって、すごいことじゃん。あたしと翔ちゃんが付き合うなんて」


「そうかあ?(笑」


「そうだって。あたしの人生設計の中に、嵐の櫻井翔の彼女なんてなかったからね?」


「まあ、そうだわな」


「こうやって、一緒に空見るのも、一緒に笑うのも、翔ちゃんとだから幸せなんだよね」


「うん、俺もそうだよ」


ただ、そばにいる。

それ以上は望まない。
だって、君がいればいいんだもん。
君という大切なものがあって、そこにいろいろなものがあるわけだから。

君とじゃなきゃ、意味がない。

いつしか、なにをするのも一緒だった。
今度、2人で来ようとか、これ好きだったなとか。

君があっての俺。

この先も、君がいて俺がいる。
奇跡みたいなことだけど、運命であってほしい。


「翔ちゃん?」


不思議そうに俺を見る彼女に小さく微笑んで、寒さで赤くなってる手を握った。


「…俺と家族になってください」


いつか、をいつも、にしたいんだ。

いつか、って思い描いてた未来を君と一緒に叶えたい。
いつも、支えあって、笑いあえるそんな未来を。


「よろしくお願いします」


俺の手を優しく握りかえして、また月を見つめる彼女の横顔を見て思った。

俺は、世界一の幸せ者だと。


「ケーキ、買って帰ろっか」


「チョコがいい」


「え、翔ちゃんが買うんだよ?(笑」


「だと思った」


繋いだこの手を、絶対離さない。
ずっと、愛してる。


Be with you
(目に見える全ては輝きだす)





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