Glare5

□創造的イグシスタンス
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「それとサイエンの居場所だがな…」

「影人、その辺は必要ならばあたしが伝えておくよ。」

「本当か?わかった。…嗚呼そうだ、飛沫ちゃんにちょいと話があるんだ。少し良いかい?」

「え…?あたしは別に構わないけど、」



言い淀みながら飛沫はゼロを一瞥する。
大事な話なら自分がいない方がしやすいだろう。
ゼロは小さく声をこぼすと先に外に出ることにした。

学術殿から出たゼロはぱちりと指を鳴らして華女を呼び出す。
華女は不思議そうに首を傾げながら葉のような羽をはばたかせ、ゼロを見下ろした。
ゼロは一度華女を見た後、近くにあった木の根元に腰を下ろす。



「…華女、俺はサイエンに会えるかな?」

「…。」



華女からの返事はない、彼女は言葉を持たないのだから当然だ。
華女はゼロが降霊師として始めて創った存在である。
そのため最も思い入れが深く、ゼロはしばしば彼女を呼び出しては話し掛けていた。
対する華女も形なき物の中でも特にゼロを慕っており、体を使ったコミュニケーションで精一杯に親しみを伝えようとしていた。
華女は花弁のようなまつげを揺らしながらまばたきをするとゼロの肩に頬を寄せた。



「…ありがとう。お前がいてくれると心強いよ。」



小さな白い花で飾られた頭を一撫でしながらゼロは薄く笑みを浮かべた。
暖かく柔らかな光がゼロを照らす。
ゼロは一度空を仰ぐと木にもたれ掛かり、瞳を閉じた。





形を持ったわたしの世界が側にいる





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