Glare4

□灰色の少年
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灰色の髪の少年は言葉を発した、しかしその言葉は第三者の声に遮られた。
四龍は素早く身構え、辺りを警戒する。
灰色の髪の少年や妖狐の少年も同じく、黙ったまま声の主を探している。
ふいにパキパキと言う音を立てながら空間に亀裂が入ったかと思うとそこからは瓜二つの男女が現れた。
おそらく双子なのだろうが性別が違う他は恐ろしいほどそっくりで、まるで精巧な人形のようだ。
二人は薄茶色の髪を風になびかせながらクツクツと笑い合った。



「ねぇコロナ、あの子でしょう?あの焦げ茶の髪の女の子。」

「そうだよ、サイレンス。あの子が俺達の探してるお姫様だよ。」

「うふふ、見てよコロナ。よくよく見たら妖狐もいるわ。あの灰色の髪の子は…誰かしら?」

「あはは、臆病者の妖狐がこんなところに来れただけでも驚きだね。灰色の奴は俺も知らないな。…そんなことよりも、サイレンス。」

「そうね、コロナ。」

「「お姫様の命を貰って早く帰ろう。」」



狂気の滲んだ笑みを浮かべる双子は時雨に向かってそれぞれナイフを投げ付けた。
速く、精確なそれはそこら辺の暗殺者の技術などはるかに上回る。
引き寄せられるかのようにナイフは時雨へと向かって来る。
思考が停止した、殺られてしまう。
必然的に来るであろう痛みを前に目をつぶった時雨の耳に入って来たのはあの灰色の髪の少年の声だった。



「灰色、お前は関係ないでしょ?なんで邪魔するの。」

「そうよ、私達の邪魔をするなら貴方だって」

「「殺すよ?」」

「…殺せるものなら殺してみろ。」


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