Glare4

□灰色の少年
5ページ/7ページ


茂みの緑が無くなり、景色が開けた時雨の視界に映ったのは妖狐の少年と、妖狐の少年よりもいくつか年上に見える灰色の髪の少年だった。
灰色の髪の少年の目付きはいささか鋭いものだったが悪い人ではなさそうだ。
時雨は恭しく一礼すると口を開いた。



「初めまして、こんなところに何かご用がおありなのですか?」

「…ある人物を探してここに来た。」

「ある人物…?奇遇ですね、実は私もそうなのです。」

「時雨!!」



この人達も人捜しをしていたのか。
時雨は驚き、目を丸くする。
そんな時雨の耳に聞き覚えのある声が飛び込んで来た。
わざわざ見なくてもわかる、この声は四龍達のものだ。
現れたのは時雨の予想通り四龍で、彼らは時雨の側に寄ると落ち着いたように一息吐いたが黄泉の顔を見ると警戒心を露にした。
視線は彼のただれた右目へと注がれている。



「もう、そんなに警戒しなくてもいいでしょう?悪い人じゃないんだから。」

「絶対にお前に危害を加えないと言う保証はどこにも無いだろう。」

「でも真人…」



ああ、こうなった真人には何を言っても無駄だ。
時雨は小さく溜め息を吐いた。
灰色の髪の少年は黙ったままじっとこちらを見つめている。
ただれていない左目は金色に輝いていた。
何か言いたげな様子にしばらく待っていると灰色の髪の少年は口を開いた。



「なぁ、お前…」

「「見ぃつけた。」」


.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ