Glare3

□姫君と従者
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狂気の滲み出た笑顔で笑い合うとコロナとサイレンスは時雨に向かってそれぞれナイフを投げ付けた。
一般の人間からは考えられないナイフの技術。
黄泉は驚きつつも真人達よりも速く、時雨に向かって投げられたナイフを叩き落とす。
そして時雨達を一瞥すると、地面に落ちたナイフをつまらなそうに見つめるコロナとサイレンスを睨み付けた。



「灰色、お前は関係ないでしょ?なんで邪魔するの。」

「そうよ、私達の邪魔をするなら貴方だって」

「「殺すよ?」」

「…殺せるものなら殺してみろ。」



自分の喉元を指差して黄泉は双子を挑発する。
するとさっきまでの笑い顔は一変、二人からはおぞましいまでに強い殺気が溢れ出した。
からかうのは好きだが、からかわれるのは大嫌い。
まるで幼い子供のようだ。
黄泉はくるりと振り返ると時雨を守るように真人の隣りに立った。



「…何故助けようとする?」

「目の前で今さっきまで会話していた者が殺されるなんて気分が悪い。…それに、あいつらの中では俺は既に殺しの対象だ。」

「もう、ヨミーは後先考えずに行動するんだから。…協力するよ、一緒に時雨ちゃんを守ろう。」

「待って下さい。」



今まで黙っていた時雨が口を開いた。
時雨の目には一種の決意のようなものが伺える。
時雨は殺気を出し続ける双子を真っ直ぐに見つめながらはっきりとした声で言った。



「私だって戦えます。」








「私は龍使い族最後の生き残り、月神一族族長の月神時雨です。そう簡単には私の首は渡しません。」








『生きてるよ。たった一人だけ、生き残ったのさ。』



黄泉の脳内で飛沫の言葉が再び響き渡る。
目の前には、凛と立つ時雨がいた。





姫君は、戦う





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