Glare3

□姫君と従者
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「もう、そんなに警戒しなくてもいいでしょう?悪い人じゃないんだから。」

「絶対にお前に危害を加えないと言う保証はどこにも無いだろう。」

「でも真人…」



真人と呼ばれた黒髪の男と黄泉達を交互に見やると時雨は小さく溜め息を吐いた。
…どうやら、真人を含む四人は時雨の従者のような存在らしい。
そうなると時雨は良家の出なのだろう。
良家の娘がこんなところに人探し、探されているのはこの里に関係する者なのだろうか。
もしや、飛沫の言っていた月神一族の生き残り…?
黄泉は金色の目を細めた。



「なぁ、お前…」

「「見ぃつけた。」」



黄泉の言葉を遮って発せられた二つの声。
辺りに響き渡るようなそれにその場にいた全員が警戒心を露にした。
張り詰めた空気が漂う中、パキパキと言う音を立てながら空間に亀裂が入ったかと思うとそこから瓜二つの男女が現れた。
彼等はきっと双子なのだろう、お揃いの薄茶色の髪が風になびく。
二人はクツクツとひとしきり笑うと顔を見合わせた。



「ねぇコロナ、あの子でしょう?あの焦げ茶の髪の女の子。」

「そうだよ、サイレンス。あの子が俺達の探してるお姫様だよ。」

「うふふ、見てよコロナ。よくよく見たら妖狐もいるわ。あの灰色の髪の子は…誰かしら?」

「あはは、臆病者の妖狐がこんなところに来れただけでも驚きだね。灰色の奴は俺も知らないな。…そんなことよりも、サイレンス。」

「そうね、コロナ。」

「「お姫様の命を貰って早く帰ろう。」」



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