Glare3

□姫君と従者
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「だーかーらー、いい加減ボクの考え理解してヨ!」

「うるせぇよガキ!おい、真人や風乃も何か言ってやれよ!」

「迅雷、少しは黙れ。お前の方がうるさいぞ。」

「真人の言う通りだわ、少し静かにしな。」

「てめぇらぁぁあ!!」

「もう!みんな止めてよ!」



少女の声が響くと辺りはしんと静かになった。
鶴の一声とはこのことを言うのだろう、黄泉と茜は何も言わずに顔を見合わせた。
声がしたのは自分達がいる場所より少し離れた、恐らくは茂みが邪魔で見えない場所からだと思われる。
会話から察するに危険人物ではなさそうだ。
警戒心を解いてしばらく黙って会話を聞いているとふいに茂みが揺れ、少女が現れた。
少女は髪の毛と同じ焦げ茶色の大きな瞳に黄泉達を映すと恭しく一礼した。



「初めまして、こんなところに何かご用がおありなのですか?」

「…ある人物を探してここに来た。」

「ある人物…?奇遇ですね、実は私もそうなのです。」

「時雨!!」



複数の声と茂みをかきわける音。
おそらく時雨、と言うのは少女の名前なのだろう。
驚いたように目を丸くする時雨の元に四人の人物が現れた。
20歳前後の男が二人に女が一人、そして茜よりも幼いであろう少年が一人。
四人は時雨を守るように周りに立つと様子を伺うように黄泉達を睨む。
その様子を見て時雨は困ったような顔をした。


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