Glare4

□開口的ウィル
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「このアーチはこことグレアを繋ぐモノ、これをくぐればキミはグレアに帰れるよ。」

「アドミニス、」

「嗚呼、プシュケのことだね?悲劇や争いの陰には必ずプシュケがいる。蝶の羽を背中に生やした真っ黒な瞳を持つ人物だよ、会えばきっとすぐわかる。」



だけど気を付けて、プシュケはいとも簡単に神殺しをしてのけた人物だ。
くれぐれも無茶をしないでね。
アドミニスの言葉にゼロは口元をつり上げて笑う。
その顔に滲むのは絶対の自信、蜜柑色の瞳は真っ直ぐにアドミニスを見据えていた。



「俺は降霊師だ、"俺の世界が広がる限り"負けはしねぇよ。」

「…確かにキミの内に広がる世界は凄い、でもプシュケの脅威は理解しておいておくれね。」



言い終わるとアドミニスは顎でアーチを指し示す。
もう行け、そう言うことなのだろう。
ゼロは小さく頷くとアーチに向かって歩き出した。
歪みに足を踏み入れる前に一瞥したアドミニスは相変わらずの無表情だった。



「……ねぇグローリア、キミの愛した世界を救ってくれるナイトが現れたよ。」



彼岸花の海の中に佇みながらアドミニスが静かに呟いたことをゼロは知らない。
アドミニスの独白を唯一聞いていた彼岸花はさわさわと揺れ、まるで彼の言葉に相槌を打っているかのようだった。
アドミニスは薄暗い天を仰ぐと目を細める。
グローリア、再び呟いた言葉は何か特別な意味を孕んでいるかのようだった。





彼の気持ちを知るものは彼岸花だけ





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