Glare4

□骨の剣
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「安らかなる眠りの主、冥龍。」



冥龍、時雨の言葉に反応するかのように骨に酷似した刀は地響きにも似た唸り声をあげる。
やがてその声を背景に先程まで刀だったそれはパキリパキリと音を上げながらやがて巨大な龍となった。
一言に龍と言ってもただの龍ではない、肉も皮もなく骨だけの龍だ。
骨だけの龍はゆらゆらと尻尾を揺らしながら甘えるように時雨の頬に鼻先を寄せた。



「闇人は"生"の通っていない攻撃なら受けるんですよね?冥龍は朽ちた命、この子がいる限り私は負けません。」

「お姫様…今なんて言ったの?」



自分を真っ直ぐに見据えながらそう言葉を紡ぐ時雨にとうとうサイレンスは怒りの限界を超えた。
禍々しい色をした感情が胸の奥底で暴れる。
目の前の小娘が憎いと、今すぐにでもあの瞳に絶望を滲ませたいと訴える。
サイレンスが怒りに身を任せながらナイフを降りあげた時、間延びした声が響いてサイレンスの動作は止められた。



「力の差もわからないなんてぇ、雑魚同然だよぉ?」



いつの間にここにいたのだろうか。
サイレンスの背後にはにっこりと言う擬音語が似合いそうな笑みを浮かべた時雨よりも幾らか年上であろう少女がいた。
甘えたようなその声を耳にしたサイレンスは大袈裟なくらい焦って見える。
時雨が不思議そうにカタカタと震えるサイレンスとその背後にいる少女を見れば、少女は左右で色の違う瞳を細めて笑いながらひらひらと手を振った。



「はぁい、お姫ちゃん初めましてぇ。バレッタ・バロッタちゃんでーす。」





彼女の笑みに、どこか恐ろしさを感じた





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