Glare4

□二つに一つ
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「凄い…。」



あっと言う間の出来事に茜はただ目を見開くことしか出来なかった。
それと同時に黄泉が戦うために創り出された生物兵器であることを痛いほどに理解した。
当の本人である黄泉は無言でコロナを見つめている。
コロナは数回咳込んだ後、口の端を伝う血を拭うとよろよろと立ち上がった。



「…まさかお姫さまと一緒に生物兵器までいるなんて予想外だったよ。だけど、」



俺も双子の三強に名を連ねている一人だからそう簡単に倒れるわけにはいかないんだ。
言い終わるや否やコロナは手にしたナイフで自分の手を傷付けると血の付いたナイフを黄泉に向かって投げつけた。
同じことを繰り返すコロナに対して眉を顰めながらも黄泉は投げつけられたナイフを蹴り落とそうと体勢を整える。
ナイフの柄が黄泉の足に触れる瞬間、コロナは笑った。



「…っ!?」



黄泉は思わず声を失った。
ナイフが突然火に包まれたのだ。
ナイフを蹴り飛ばそうとした足には火傷が生じ、火傷した部分一帯がジクジクとした痛みを訴えた。
ただのナイフの攻撃だと思っていた分予想外の結果に隙が出来てしまった黄泉は続くコロナの攻撃をもろに受けてしまう。
すかさず反撃をしようとした黄泉だったが黄泉の攻撃はコロナに当たることなく終わってしまった。



「…っ。」

「どう、俺の炎の味は?」



口元こそ笑っているが冷たい目をしたコロナは黄泉に問いかける。
コロナの左手は火に包まれており、思わず目を疑った。
黄泉は眉間に皺を寄せながら痛みを訴える足を一瞥すると再び体勢を整える。
今は痛みを気にしている場合ではない、ここで終わる訳にはいかないのだ。
黄泉はコロナの左手を睨み付けた。





勝ちか負け、生か死





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