Glare4

□フラッシュバック
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「お話の最中のようですが失礼しますよ。」



先程まで繰り広げられていた会話を思い出す僕の耳に、空間の狭間を一足先に抜けたリッカさんの声が届いた。
直後、二人分の鋭い殺気が湧き上がる。
僕は思わず目をそらしてしまったがリッカさんは相変わらず柔和な笑みを浮かべていた。



「悲劇からの完全な救済は出来なかったものの魂を救って下さりありがとうございました、私は死神長を務めるリッカと申します。それでこの子は私の部下のネオンです。」

「ネオンです、はじめまし…。」



リッカさんに紹介され、お辞儀をしてから目の前の二人を見やる。
一人は特徴的な紅い目からして妖狐、もう一人は灰色の髪の少年。
灰色の髪の少年の顔を見た途端僕の頭の中は真っ白になり、気がついた時には鎌を呼び出して少年に斬りかかっていた。
僕の行動はリッカさんにとって予想外の出来事だっただろう。
珍しく焦った様子のリッカさんは僕同様空間から鎌を取り出して刃を受け止めた。
ギィン、鈍い音が響く。



「ネオン、自分が何をやってるのかわかってるのかい!?」

「わかってます!!彼は…彼は僕の一族を滅ぼした!!」



そう、少年の顔は僕が死んだ日、里で見た"あいつ"と同じ顔だった。
"あいつ"は突然里に現れ、次々と殺していった。
そんな"あいつ"の標的になった妹を庇って僕は命を落としたのだ。
"あいつ"がいなければ、きっと…。
リッカさんの制止を聞き流し、僕は鎌を振り下ろそうと力を込める。
僕が斬りたいのは、仇である目の前の"あいつ"。



「退いてくださいリッカさん…!」

「退く訳にはいかない!!君は死神だ、私情で人を殺してはいけないんだ。」

「そうよ。上司さんの言うことは聞いた方がいいわ。」



リッカさんの声に続いて女の人の声が響いた。
声と共に僕らの足下にあった影は動きだし、握る力の緩んでいた僕の手から鎌を奪い取る。
鎌を奪い取った影は一旦地面に戻ってゆらゆらと蠢くとやがて右目を前髪で隠した女の人の姿となった。
影を自在に操る人間はいない、恐らく彼女は術師と呼ばれる種族なのだろう。
そんなことを思いながら彼女を見やると彼女は群青色の目を細めながら艶っぽく笑って言葉を紡いだ。



「死神君、あなたの一族を滅ぼしたのはこの子じゃないわよ。」











「この子と同じ顔の、烙舞って言う生物兵器よ。」





最期の光景が、蘇る




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