Glare4
□フラッシュバック
2ページ/3ページ
「リッカさんと…ですか?」
「うん。それとも…俺と一緒の仕事は嫌?」
眼鏡の奥の目を細めながらくつくつと笑うリッカさんに僕は慌てて返事の代わりに首をぶんぶんと横に振ってみせる。
そんな僕の様子を見てリッカさんは再び笑うと冗談だよ、と言葉を漏らした。
…思えばこうしてリッカさんと話すのは久しぶりかもしれない。
死神長と言う役割は忙しいらしく、見かけた時はいつもたくさんの書類を抱えていた気がする。
ちらりとリッカさんを見れば穏やかな笑みを浮かべながら僕の方を見ていた。
「考え事は済んだかな?」
「へ?あ、えと…はい。」
「はは、君って考え出すと周りが見えなくなるタイプでしょ?」
「そうかもしれません。…もしかしてリッカさん何かおっしゃいました?」
「まあね。…じゃあもう一回言うよ。」
今度はちゃんと聞いててね?
首を傾げながら笑うとリッカさんは話を始めた。
なんでも、この頃時之輪から外れた存在が出現し始めたらしい。
本来死神や悪魔など"こっち側"の者でない限り時之輪の元でしか存在することが出来ない。
だと言うのに存在し続けていると言う奇異な人物に今回、接触をすることになったのだ。
「本来こっち側が生死以外で干渉するのはあまりよくないんだけどね、今回は例外。悲劇に遭った子の魂、救ってくれたみたいなんだ。」
「救うって…死神以外にも出来るんですか?」
「命までは守れなくても出来ることは出来るよ。ただそんなことは極めて稀だね、通常は出来ない。だからこそ会って確かめてみたいんだよ。」
目を細めながらリッカさんは言う。
細められた濃い灰色の瞳に籠もった意図を感じ取ることは僕には出来なかった。
しかし、その姿は"リッカさん"ではなく"死神長リッカ"としての威厳を感じさせた。
「これが吉と出るか凶と出るか…俺は前者であって欲しいけどね。じゃあ、行こうか。」
「…ええ。」
.