Glare3

□人の話を聞け
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「寂しいなら俺のとこに来いよ。」

「…は?」



いきなり何を言い出すんだこいつ。
思わず間抜けな声を出してしまった。
もしかして女と間違えられている?

肌は白く、長めの睫毛は大きなスミレ色の瞳を縁取るように並んでいる。
おまけに深紅の前髪の一部が髪留めでくくられているとしたら女と見間違えられてもしょうがないだろう。
しかし小太郎は紛れも無い男だった。



「なぁ、俺のもんになっちまえよ。」

「某は男です。」

「そんな可愛いなりしてその嘘はキツいぜ。」

「だから某…!」

「安心しろって、悪いようにはしねぇから。」

「げ…下卑たことを言うな馬鹿者!!」

「がっ…!」



艶やかさを含んだ低い声で自分を口説き続ける男に小太郎は思わず暴言と共に右ストレートを繰り出した。
華奢な小太郎だが身体能力は人一倍高い。
小太郎の渾身の一撃を顔面に食らった男は苦しそうな声を上げて倒れる。
動かない男を見てやり過ぎたかと思いつつも小太郎は足早にこの場から去ろうとした。
しかし。



「…気に入った。」

「…ぇ?」



声と共に体が宙に浮いた。
否、一人でに浮いたのではない。
男に抱きかかえられて浮いたのだ。
男の背中を見ればカラスに良く似た黒い翼。
男は翼を大きく羽ばたかせると小太郎共々空高く舞い上がった。



「お主何を…っ!」

「俺は烏天狗の佗々羅(タタラ)。俺にそんなこと言ったのはお前が初めてだ!お前のことを気に入ったから連れて帰る。」

「ま、待て!某は行きたくなんか!!」

「黙んねぇと今すぐ降りてあんたのこと犯すぞ?」



逃げようにも空の上、叫ぼうにも下手したら犯される。
小太郎は黙って佗々羅と言う男に連れ去られるしかなかった。





(人の話を聞け)
(聞いたらあんたは逃げるだろう?)

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