Glare3

□墓場のアリア
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アリスと出会ったのは3年前の今日、同じように真夜中に墓参りをしに行った時だった。
二人の墓の前に立っていたのは銀髪の少女と悪魔、闇色兎。
チェシャの姿を見るなり闇色兎は言った。



『ヤァ、笑い猫。科学者ヲ辞メテ本業ノ暗殺者ニ戻ッタンダッテ?』

『…どちら様で?』

『僕ハ悪魔、闇色兎。今日ハ君ニぷれぜんとヲ持ッテ来タンダ。コノ子…見覚エナイカイ?』

『ありませんね。』

『本当カイ?オカシイナァ…君ノ大切ナ友達ノ子供ダヨ?折角僕ガ死体カラ作ッテアゲタノニ。』

『貴様…!』

『アハハッ!ソウ怒ンナイデヨ。コレハげーむダヨ。僕ハコレカラ逃ゲル。君ハソノ子ト一緒ニ僕ヲ捕マエテゴ覧?死体ノコノ子、人間ニシテアゲル。』




気が向いたら他の願いもかなえてあげるよ。
そこまで言うと闇色兎は高笑いを一つ、そして闇に溶けた。
残されたのは銀髪の少女…闇色兎曰くゲイルと小春の間の子。
にわかに信じられないが相手は悪魔だ、死体から何かを作るなんて簡単なことなのかもしれない。

ゲイルのそれとよく似た銀色の髪は小春を思わせる猫っ毛。
極め付けは淡いオレンジがかった瞳。
それらを持つ少女は確かに友人達の子と言っていいだろう。
チェシャは子供のように真っ直ぐな目で自分を見つめる銀髪の少女をアリスと名付け、共に暮らすことにした。



「あれからもう3年が経つだなんて…時の流れは早いものですね。」



星の瞬く空を見上げながらチェシャは呟く。
それと共に誓うのだ、必ずやアリスを幸せにすると。
普通の少女として生まれることが出来なかったため彼女は裏の社会での生活を余儀なくされた。
しかしだからこそいつか闇色兎を見付けて彼女を人間にするのだ。



「アリスと…烙舞のことは任せてください。」



全ては友人の"娘"と、"息子"のために。
チェシャの声は闇に溶けた。





END.
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