Glare3

□恋心は墓まで持って逝きます
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「そうだな…我にとって恋は我の全てだった。」



紫乃、暖かい声が今でも頭の中でよみがえる。
希代の天才軍師、市原十兵衛。
百年に一人とまで謳われたその生まれ持った頭脳を活かし犠牲を最小限に抑えた勝利をもたらして来た。
そんな十兵衛との出会いはとある作戦会議だった。



『貴女…戦姫、紫乃ですね?』

『そうだが…天才軍師の市原十兵衛殿、我に何か用事がお有りで?。』

『噂では鬼神のように恐ろしいと聞いていましたが…どうやらそうでもないようですね。』

『…馬鹿にしているのか?』

『いいえ。率直に言えば一目惚れしたのです。』






「鬼神とまで謳われた我だ、生涯誰にも愛されることは無いと思っていた。しかし十兵衛は好きだと言ってくれた。」



バレッタのふわふわとした綺麗な桃色の髪を撫でながら紫乃は言う。
そう言えば十兵衛もくせっ毛だった、等と色々と思い返すうちに紫乃は気付いた。
戦死しゾンビになってから何十年も経っていると言うのに今もまだ十兵衛の面影を探していることに。
我ながらなんとまあ愚かなのだろうと思うが愛しいものはしょうがない。




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