Glare3

□恋心は墓まで持って逝きます
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「ねぇ紫乃、恋ってなぁに?」



いきなり何を言い出すのかと思ったら。
紫乃は漆黒の瞳に先程の問い掛けをした主人、バレッタを映した。
バレッタは淡く微笑みながら紫乃を見つめている。
答えを待っているのだ。
紫乃はしばらく考える素振りを見せると口を開いた。



「…人それぞれ、だと思う。」

「人それぞれ?」

「ああ。独占欲を形にしたものでもあれば掛け替えの無い宝でもある。」

「じゃあ…紫乃にとってはどうだったの?」

「…さっきから質問ばかりだな。」



主、いつもの甘えたような口調はどうしたんだ。
くすりと笑いながらバレッタを見やった。
笑われたことが気に入らなかったのか若干怒ったようなバレッタの瞳にはくっきりと自分の姿が映る。
薄紫の髪、漆黒の瞳、丈が極端に短い羽織り、さらし代わりに包帯を巻かれた上半身。
包帯をほどけば幾つもの傷がある。
ここ数年で出来た傷では無い、何十年も昔のものだ。
幾つもの戦を乗り越えて来た証、紫乃は生前戦力の要になっていた武将だった。
しかし武将とて紫乃は女、恋をしたことはあった。




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