Glare3

□紺碧の空は君のもの
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「…。」



間に合わなかった。
銃を手にした男がいやらしく笑っているのを見て薄々は勘づいていた、もうこの村の住人は誰も生きていないだろうということを。
アリス達の今回の任務は妖狐を匿う村の守護。
任務を引き受けてから村に向かうまでの早さは決して遅くは無かったが何者かの手によって情報が漏れてしまっていたのだ。
結果、アリス達が村にやって来る頃には情報を聞き付けた西国思想信者に妖狐共々村人は殺されてしまった。

村人全員の死に不甲斐なさを感じつつもアリスはこの出来事を事実として頭の中で理解しようとした。
しかし折り重なって倒れていた村人の姿が脳裏を過ぎる。
アリスは辛そうに顔をしかめると小さく頭を振った。



「…駄目、だ。」

「何が駄目なんすか?」

「…イカレ?」



横から顔を覗き込んで来たのは今日の任務を一緒に担当したイカレ。
服の所々に赤い斑模様がある辺り先程放って置いた男はイカレによって殺されたのだろう。
頭の隅でそこまで考えるとアリスはイカレのモスグリーンの瞳を見やった。
アリスと目が合ったことに気がつくとイカレは一瞬きょとんとし、困った風に眉尻を下げる。
そして、自分よりもいくらか背の低いアリスの頭をわしゃわしゃと撫でながら優しい声色で言った。




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