Glare3

□紺碧の空は君のもの
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「こんなものじゃ…僕は死なない。」



銃を片手に尻もちをつく男を見下ろしながらアリスは静かに口を開いた。
男の持つ銃からは煙が細く立ち上ぼっている。
今し方発砲したのは明確だった。



「ば、けもの…!」

「…まぁ、似たようなものだね。」



男の視線は風穴の開いたアリスの胸元にある。
男は確かに自らの持つ銃でアリスを撃った。
しかしアリスは倒れない、それどころか血さえ流していない。
有り得ない事が起きた、男の脳内で警鐘が鳴り響く。
アリスは顔色一つ変えずに怯える男と銃を見やると何も言わずに男の背後にある村へ歩き去って行った。

命の危機を感じていた男は胸を撫で下ろす。
そしてよろよろと立ち上がるとアリスから逃げるようにおぼつかない足取りで反対方向へ歩き出した。
しかし、その歩みはすぐに止まった。



「逃がさねぇっすよ。」



痛みは異物感と血が込み上げるのを感じてからだった。
気絶しそうな痛みの中、自分を見下ろせばそこには普段見覚えの無いものが目に入った。
真っ赤な刀が、胸から出ている。
そこまで見ると視界が真っ白になった。
ああ、これが死ぬと言う事なのかと遠のく意識の中で男はそう思った。



「一突きで終わらせてやったこと、感謝するんすね。」





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