Glare3

□想われレディ
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「っ…!」



ぽたぽたと右肩口から血が滴る。
それと共に形容しがたい痛みがイカレを襲うが倒れる訳にはいかない。
下唇を強くかみ締めて遠のきそうになる意識を保つとイカレはきっと目の前の男を睨んだ。



「ひでぇことするっすねぇ…メル坊?」

「メルトだって何回言わせるつもりだ。メル坊って言うんじゃねぇよ馬鹿助。」



目の前の男、メル坊ことメルトは群青色の目を細めて睨み返す。
しかし肩の痛みから若干左右に揺れるイカレに気付いたのかメルトは至極楽しそうに笑いながら言葉を紡いだ。



「あれ…今の技結構効いたんだ?」



血が滴る影で作ったナイフの柄を愛しそうに撫でながら紡がれる言葉は嫌味にしか聞こえない。
相変わらず性格の悪い奴め。
小さく舌打ち、イカレは琵琶から仕込み刀を取り出した。
いつもなら軽業師のごとく宙を舞って斬りつけるところだが今はそうはいかない。
左手で仕込み刀を強く握るとイカレはメルト目掛けて真っ直ぐに突っ込んで行く。
メルトも楽しそうに口許をつり上げると影で作ったナイフを握り直し走り出した。
もうすぐ互いの刃がぶつかる、そんな時二人の間には大きな壁が現れた。




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