Glare3
□言霊
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「無事で何よりだよ。よく…堪えたな。」
影人の言葉を聞いて脳裏に浮かんだのは緋影と閃架の姿。
二人を思い出すと今まで堪えていたものが溢れ出し、それはやがて涙と化した。
「に、さま…っ…閃さ…!」
「しぐちゃん…。」
ふわり、名にもなかった空間から雪那は現れると小さな体で精一杯時雨を抱き締めた。
時雨を姉のように慕っている彼のことだ、泣く時雨を見て放っておけなかったのだろう。
雪那は自分の持つ最も優しい声で時雨に話しかける。
「緋影サマもせっちゃんも喜んでるヨ、しぐちゃんが生きててくれて。」
「でも…私のせいで兄様達は!」
「しぐちゃん、しぐちゃんの中には緋影サマ達の命が生きてるんだヨ?だから…」
前を向こう、しぐちゃんにはみんながいるから。
ね?と首をかしげながら言う雪那の後ろには煉牙や影人の姿。
そして今は姿を現していないものの雪那以外の四龍もいる。
あの時、閃さんに言われたことを忘れてた。
月神の民が自分だけになろうとも一人になることはない。
ごめんね、閃さん。
時雨は涙を拭くと前を向いた。
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