Glare3

□チョコレートフォンデュ
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今日はバレンタイン。
うちの喫茶店はカップル達で賑わってた。
ゆったりとした時間を幸せそうに満喫するカップルを見てると僕まで幸せになれた。
ほわほわした気持ちで僕は新しく入って来たお客さんのところへと駆けて行く。



「いらっしゃいませ…え?」



お辞儀をしてお客さんの顔を見て僕は目を丸くした。
お客さんは見知った顔、ううん僕の会いたかった人…キゼだった。
なんで、キゼは今日用事があるって言ってたのに。
疑問符がくるくると頭の中で渦を巻く。



「アリス、お前は今仕事中だろう?」



ふいに呆れたような声とともに頭に手が乗せられた。
大きくて温かいなって思ってこのままずっと撫でてもらいたかったけどさっきキゼが言った通り僕は今仕事中だ。
我に返った僕はキゼを空いているテーブルへと案内する。
空いているテーブルに着くまでに何人かの綺麗な女の人がキゼを振り返ってた。
君達には彼氏さんがいるでしょ?
そんなにキゼのこと見ないでよ。
うっとりとキゼを見つめる女の人を始末したくなる。
駄目だよ、表の仕事で裏の顔は出しちゃ行けないのに…殺気が溢れそうになる。



「じゃあ…お決まりになりましたらお呼び下さい。」

「待てアリス、もう決まっている。」



このままじゃキゼに八つ当たりしちゃいそうだったから早くこの場から立ち去りたかった。
だけどキゼはもう注文が決まってるって…。
おかしいな、キゼがお客さんとしてお店に来るのは初めてのはずなのに。
ショートエプロンからメモ用紙とボールペンを取り出すと僕は口を開いた。
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