Glare3

□ブラウニー
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「お菓子のつく、り方…教えて?」



飛沫姉のところから歩いて十分と少し。
僕は今アリスちゃんや猫さん達の経営する喫茶店に来ている。
正確には今さっき来たんだけど…そんなことはともかく、僕は僕より少し背の高いアリスちゃんとすっごく背の高い猫さんを見上げてお菓子の作り方を教えてって言ったの。
そしたら二人ともきょとんとしてから顔を見合わせた。



「お菓子…ですか?」

「いきなりどうしたの、セリ?」

「きょ、今日はばれ、たいんだし…その、ひ…こに…えと…。」



バレンタインには大好きな人にチョコをあげるんだってメロウ姉が言ってた。
だから僕もお菓子をあげたいって思ったんだけど…駄目だったのかな。
恥ずかしくなってうまく言葉が出ない。
悔しいよ、どうして僕はいつもこうなんだろう。



「セ、セリ泣かないでよ。」



慌てるアリスちゃんがぼやけて見える。
ああ、僕また泣いちゃったんだ。
涙は僕の頬を濡らしながらぽたぽた床に落ちる。
しゃくりあげながら落ちる涙を見てたらふいに温かい手が僕に触れた。
見上げれば猫さんが優しく笑いながら僕を見つめていた。



「氷狐君に手作りのお菓子をあげたいのでしょう?さあ、泣いていないで作りましょう。」



氷狐とは違う心地よい声。
お父さんってこんな感じなのかな…。
僕は袖で涙を拭うと大きく頷いた。



「うん…!」
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