Glare3

□ブラッディーローズ
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「う…そ…。」



約束の場所で僕を待っていたのは信じられない光景だった。
真っ赤な血の海に横たわる雫の姿。
僕の口からは目の前の現実を否定する言葉しか出なかった。



「嘘だ!!し、ずく…雫!」



駆け寄り抱き上げた雫はぐったりとしていて顔に生気は感じられなかった。
白い肌に赤い血が映える。
それを僕は美しいと思ってしまった。
流れ出る赤い血は雫の生を奪っているのにね。
何も出来ずに抱き締めていたら雫はかすれた声で僕を呼びながらゆっくりと重たそうな瞼をあげ、紅い瞳に僕を映した。



「フレ、ンジ…ィ。」

「雫…どうして?どうしてこんなことに…っ!?」

「ぐんじ、んが…よ、こ狩り…。」



妖狐狩り。
人間が最も優れているって言う愚かな思考の奴が提案した西国の異種排除令の一種。
人間以外の種族は西国で見つかると危険らしく、その中でも紅い目って言う外見的特徴を持つ妖狐は狙われやすいんだって雫が言ってた。
だから僕はこの丘を約束の場所にした。
ここは緑が多いし人気も少ない、平気だと思った。
…でもこの場所が西軍にばれた、それは瀕死の雫を見ればそれは明らか。
好きな女一人救えない自分の無力さに僕は顔を歪ませた。
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