Glare2

□不機嫌と子供
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「もとの場所に返して来い。」



軍部の特別執務室、ナズナを連れて帰った勇達に俊の冷たい一言が放たれる。
どうしてですか等頬を膨らませて宗一郎が不満げに言えば面倒臭そうに新たな言葉が発せられた。



「お前達仮にも軍人だろう?軍人が幼女誘拐だなんて洒落になんねぇ。…それに俺は餓鬼が嫌いだ。」

「子供が嫌いなのは俊殿の勝手な考えでしょう?それに俺達はこの子を誘拐してません!」

「どうだかな。オイ餓鬼、お前んちは何処だ?」

「…。」



小虎の言い分を軽くあしらい靴を鳴らせてナズナの前まで行くと目線を合わせるかのように屈んだ。
…しかし残念ながら不良が絡んでいるようにしか見えず非常に怖い。
今までの光景を黙って見ていた勇はそっと溜め息を溢した。



「…聞いてんのか?」

「…。」

「ちっ、だから餓鬼は嫌いなん……っ!?」



眉間に皺を寄せながら俊が言葉を続けようとした途端、ナズナは俊の両頬を軽く横に引っ張った。
ナズナの大胆な行動に小虎はおろおろし、宗一郎は楽しそうに笑い、勇はやれやれと頭を振った。
反応は三者三様だが思ったことは同じ。
怖いもの知らずな子供だ、と。
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