Glare2
□君に届け
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「ハッピーバースデー、ウチ。」
生と死の世界の狭間、死神が暮らす『あの世』の城の一室でモミジは一人呟いた。
今日はモミジの誕生日、そして想死して死神になった日。
15年前の今日のことを思い出してモミジは僅かに目を細めた。
溢れてくる思い出は決していいものだけではなかったがそんな中にモミジにとって大切な思い出もあった。
「…いー君、元気かなぁ。」
『―…ちゃん、俺大人になったら…ちゃんをお嫁さんにしたいんだ。』
『ほんと?』
『ほんとだよ!俺…ちゃんのこと大好きだもん。』
ふわりと浮かぶいー君の顔。
ふわふわな髪の毛の小さな男の子の告白は昨日のことの様。
小さな子供がした小さな約束、あのやりとり。
死んでしまった今、最早あの約束は叶わないがモミジは幸せだった。
いー君、彼が生きてくれていればそれでいい。
そう思えた。
思えば彼と過ごした時間は良いことばかりだった気がする。
色々な話をしたし、沢山笑った。
典型的な悪ガキだった彼だけど笑顔はお日様みたいに輝いていた。