Glare2
□残酷オニゴト
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「うわぁぁぁあ!!」
「ひっでぇなぁ。そんなに驚かなくてもいいだろ?」
くすくす、その場に不釣り合いな声が響く。
目の前にいるのは中肉中背のどこにでもいそうな男。
小洒落た服に身を包んだ悪魔、ジキルは脅える男を見てにんまりと微笑んだ。
「…そうだ!なぁ、楽しいことしようぜ?それもとびきりのやつ。」
突然の言葉に男は恐怖を感じつつもわからないといった表情をした。
するとジキルは至極楽しそうに話し出した。
「鬼ごっこだよ。30分やるからその間に逃げて助けを求めな。俺に捕まる前に誰かにあったらお前の勝ち。俺は30分後にお前を追い掛けるからお前を捕まえたら俺の勝ちだ。」
簡単なルールだろ。
ジキルはくつくつ笑うと男を振り返った。
しかしそこには既に男の姿はなく、今まで男がいたとわからせる倒れた草々があるだけだった。
「…。」
逃げられた。
途端、面白くなさそうにジキルの口はへの字に曲がる。
眉間に皺を寄せ、軽く舌打ちをすると狙った獲物を捕えに行くためにジキルは空を侵食し始めた闇に消えていった。
さあ、狩りが始まる。