Glare2

□不思議な訪問者
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「……。」



暗殺部隊長、雛塚小虎は困り果てていた。
長期任務を果たし短い休暇に入ろうとしていたが、本部から出た目の前の道に少女が立っていた。
ただ立っているだけならまだしも、その少女は小虎を見るなり抱きついてきたのだ。
なんとか離れてもらおうと試みるが駄目だった。
そして今に至る。



「もうナズナを捨てないで下さい。」

「いや、俺君のこと知らな…」

「酷い!ナズナはご主人のことをずっと思ってたのに…!」

「いや、あの…。」



うつ向き体を小さく震わせる少女、ナズナの頭を小虎は優しく撫でた。
それでもナズナの機嫌は治らなかったらしく顔はあげてくれなかった。



「ご主人にとってナズナはどうでもいい存在だったのですか!?」

「え…」

「ご主人が思い出すまでナズナは離れませんからね!」





ぎゅう、とより力を込めて抱きつかれる。
自分より随分と年が下に見えるナズナ。
傍から見たらごく一般の目では仲の良い兄弟に見えるだろう。
しかし、ごく一般ではない目から見たら…。
小虎は近付いてきた気配に溜め息を吐いた。

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